
「FDE(Forward Deployed Engineer)という職種が気になっているけれど、実際にどの会社が募集しているかわからない」——そう感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2026年6月時点で公式に FDE を募集している日本の大手・注目企業5社を、公式求人・採用ブログの情報をもとに掘り下げます。各社の業務内容・求めるスキル・英語要件を比較しているので、転職・キャリアチェンジを検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 日本で FDE を募集している大手・注目企業5社の具体的な業務内容
- 各社の英語要件・リモート可否・応募資格の比較
- FDE 未経験から応募できる企業はどこか
- 各社の公式求人ページへのリンク
5社クイック比較
| 企業 | 区分 | 英語要件 | リモート | FDE 未経験 | 公式求人 |
|---|---|---|---|---|---|
| SB OAI Japan | 合弁(ソフトバンク東証プライム) | 歓迎 | 要確認 | 要確認 | 求人ページ |
| Salesforce | NYSE 上場 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 公式ブログ |
| マネーフォワード | 東証プライム | 不問 | 要確認 | 要確認 | 求人ページ |
| JDSC | 東証グロース | 不問 | リモート可 | 可(開発経験2年〜) | 求人ページ |
| LayerX | 非上場 | 不問 | 要確認 | 要確認 | エンジニアブログ |
FDE(Forward Deployed Engineer)とは

FDE は、顧客企業の"前線"に配置され、課題の発見から AI ソリューションの実装・定着までを一気通貫で担うエンジニアです。Palantir Technologies が広めた職種モデルで、米大手 VC a16z(Andreessen Horowitz)が注目している職種の一つとして言及されたことで広く知られるようになりました。
「提案だけのコンサル」でも「言われたものを作るだけのエンジニア」でもない点が特徴です。本記事で紹介するソフトバンク × OpenAI・Salesforce・マネーフォワード・JDSC・LayerX の5社が、2026年6月時点で公式に FDE を募集しています。
FDE と類似職種の違い
| 観点 | FDE | AI エンジニア | ソリューションアーキテクト | IT コンサルタント |
|---|---|---|---|---|
| 主な役割 | 顧客前線でのAI実装・定着 | AI/MLモデルの研究・開発 | システム設計・技術提案 | 課題整理・戦略立案 |
| 顧客との距離 | 非常に近い | 比較的遠い | 提案フェーズが中心 | 提案・計画が中心 |
| 実装への関与 | PoC〜本番まで一気通貫 | 技術開発が主 | 設計まで担うことが多い | 実装は別チームに委ねることが多い |
| ビジネス理解 | 必須 | あると望ましい | 必要 | 必須 |
| 英語要件 | 企業による | 企業による | 企業による | 企業による |
※ FDE 列は本記事で紹介した各社の公式求人に基づきます。他職種の列は一般的な職務定義を参考にした比較であり、企業・ポジションによって異なります。
FDEを募集する大手・注目企業5社

2026年6月時点で、FDE を積極的に採用している大手・注目企業を5社紹介します。いずれも公式求人ページ・公式ブログの情報に基づいています。
01. ソフトバンク × OpenAI(SB OAI Japan)
ソフトバンク=東証プライム / 2025年11月設立の合弁会社
ソフトバンクと OpenAI の合弁事業として設立された SB OAI Japan が、FDE を募集しています。最先端の AI モデルを実ビジネスに実装し、AI ネイティブな業務変革を実現することがミッションです。
主な業務
- 日本を代表する企業に対する LLM・生成 AI 活用の技術リード
- 顧客エンジニア・業務部門との密接な協働
- RAG(外部データを参照して AI が回答する仕組み)、エージェント設計、ワークフロー自動化の構築
- プロンプト設計・評価設計(Eval)・品質改善サイクルの確立
- プロトタイプ構築から本番環境展開までのエンドツーエンド実装
注目: 単なる PoC(概念実証)ではなく、業務に定着し成果を生み続ける本番システムの構築が求められます。OpenAI との協働を通じ、グローバル水準での開発経験が得られる環境です。
02. セールスフォース・ジャパン
NYSE 上場 / CRM 世界最大手
Salesforce は FDE の採用を行っています。公式ブログでは、FDE の役割を「お客様のニーズとプロダクトチームが生み出すものを結ぶ極めて重要な架け橋」と位置づけています。
公式ブログで語られる5つの魅力
- Atlas Reasoning Engine を基盤とした先進テクノロジーで構築できる
- プロダクトロードマップに直接影響を与えられる
- 多様な顧客・業界を横断し、成果志向型スプリントで働く
- メンター制度・スキルアップリソースで自らキャリアをデザインできる
- テック業界トップクラスのビルダーコミュニティに参加できる
注目: 「スタートアップのスピードとグローバル企業のスケール、その両方を手に入れられる」ポジションとして公式ブログで訴求されています。
→ Salesforce 公式ブログ「FDE がセールスフォースを選ぶ5つの理由」
03. マネーフォワード
東証プライム / AX 推進本部
クラウド会計 SaaS 大手のマネーフォワードが、AX(AI トランスフォーメーション)推進本部で FDE を募集。公式求人では「0→1フェーズに特化することで、全社の AI 活用を加速させるポジション」と明記されています。
具体的な業務内容(公式求人より)
- 事業部へのヒアリング・ワークショップを通じた業務課題の深掘り・構造化
- 生成 AI・LLM を含む技術選定、実現可能性・リスクの判断
- チャットボット、AI エージェント、RAG 等の PoC 設計・開発
- プロダクション化判断に必要な評価指標の設定・検証・レポーティング
求めるスキル
- 生成 AI・LLM・AI エージェントを活用したソリューション開発経験
- プロンプトエンジニアリング、RAG、MCP 等の開発スキル
- 課題発見からソリューション提案・実装まで一気通貫で行った経験
注目: プロトタイプ完成後のプロダクション化は別チームが引き取る明確な分業体制。FDE はプロトタイピングに集中し、完了後は次の案件へ。必須スキルに英語の記載はなく、日本語ビジネスレベルで応募可能です。
04. JDSC
東証グロース / 東大発 AI カンパニー
東大発の AI 企業として上場。公式求人では、FDE を「要件が完全に固まっていない状態から、顧客と対話しながら何を作るべきかを決め、AI/LLM を活用したソリューションを業務に定着させる」ポジションと定義しています。
具体的な業務内容
- 顧客企業の業務フロー・意思決定プロセス・制約条件を踏まえた課題特定
- 業務コンサルタントと連携し、AI/LLM 活用の方針・優先度を現場視点で整理
- 顧客業務に最適化された AI ソリューションの構想・PoC 開発を主導
- 導入後も継続的に顧客と向き合い、業務変化に応じた改善・高度化をリード
応募要件
- 必須:エンジニアとしての開発経験(2年以上)
- 必須:要件が不明確な状況で関係者と対話しながら実装まで進めた経験
- FDE や AI プロジェクトの経験は不問
待遇・環境
- リモート可(柔軟対応) / フレックス(コアタイム 10:30〜16:30)
- 書籍購入全額補助 / LLM 業務利用補助 / Kaggle 報奨金 / 社会人博士支援
注目: FDE 経験を問わず、エンジニアとしての開発経験から応募できる間口の広さが特徴的です。「要件が固まっていない状態」から始める前提が公式求人に明記されており、曖昧さへの耐性が重視されています。
05. LayerX
非上場 / AI Workforce 事業部 / バクラク開発元
LayerX は2025年7月に FDE 募集を開始。公式エンジニアブログでその背景を詳しく説明しています。生成 AI プラットフォーム「AI Workforce」を金融・商社を中心としたエンタープライズ企業に提供しており、FDE はその導入・定着を担います。
公式ブログで語られる FDE の実務
- 顧客から業務で実際に処理している資料を預かり、読み解き、ヒアリングを重ねながら AI ワークフローに落とし込む
- 口伝や散在するドキュメントに埋もれた暗黙知を形式知に変え、AI エージェントの実装に反映する
- LLM の進化速度に追随し、最適な技術選択とアーキテクチャ刷新を主導する
- 導入後の利用率・データドリフト等の運用課題にもコミットし、継続的に改善する
注目: LayerX は行動指針を「Bet AI」にアップデートし、AI にフルベットする方針を明確にしています。資料読み解きを効率化する内製ツールの開発や、業務ワークフローの自動生成といった R&D にも携われる環境です。
→ LayerX エンジニアブログ「FDE という職種について」
FDEに向いている人

各社の公式求人に共通して現れるキーワードから、FDE 向きの人物像を整理しました。
「なぜ非効率なのか」に興味を持てる人
多くの求人に見られるのが「顧客課題の深掘り」「業務フローの理解」というキーワードです。技術そのものだけでなく、その技術が解くべきビジネスの問題に関心を持てることが大前提となります。
0→1を楽しめる人
マネーフォワードは「完成されたプロダクトの改善よりも、何もないところから動くものを生み出すことにワクワクする方」、JDSC は「要件が完全に固まっていない状態」から始めると公式に明記しています。不確実性を楽しめることが重要です。
技術とビジネスの「翻訳者」になれる人
マネーフォワードは公式求人で「ビジネス側の課題感を技術的な解決策として言語化し PoC に落とし込む翻訳者」という表現を使っています。Salesforce も「プロダクトチームと顧客を結ぶ架け橋」と位置づけています。
データサイエンティストのキャリアパスとの違いも気になる方はこちら
日本でFDE求人を探すときの注意点
職種名が「FDE」でない場合がある
日本ではまだ「FDE」という職種名が統一されておらず、同じ役割を「AIソリューションエンジニア」「テクニカルアカウントマネージャー」「AIコンサルタント」などの名称で募集している企業もあります。求人を探す際は「FDE」だけでなく、「顧客課題」「AI実装」「PoC」「一気通貫」といったキーワードで検索すると候補が広がります。
PoCで終わるか、本番導入まで担うかを確認する
FDEの醍醐味は「PoC(概念実証)で終わらず、本番システムとして業務に定着させるまで関わる」点にあります。求人票や面談では「プロトタイプ完成後の工程は誰が担うか」を必ず確認しましょう。マネーフォワードのように「PoC特化・本番化は別チーム」という分業体制の企業もあれば、SB OAI Japan のように「エンドツーエンドで実装まで担う」体制の企業もあります。どちらが自分のキャリア志向に合うかを判断材料にしてください。
英語要件の実態を確認する
求人票に「英語歓迎」と書かれていても、実務で英語を使う頻度は企業によって大きく異なります。SB OAI Japan は OpenAI との協働があるため英語が必要な場面が多いと考えられますが、JDSC・マネーフォワード・LayerX は公式求人に英語要件の記載がありません。Salesforce も公式求人への記載がないため、実務での英語頻度は各社のカジュアル面談で「英語を使う頻度と場面」を具体的に確認してください。
顧客常駐の有無を確認する
FDE は「顧客前線に配置される」ポジションですが、常駐型(顧客オフィスに常駐)か訪問型(必要に応じて訪問)かは企業によって異なります。リモートワークの可否とあわせて、働き方の実態をカジュアル面談で確認することをおすすめします。
FDEになるには
必要なスキル(各社公式求人より)
多くの求人で求められる技術スキルを整理しました。
技術スキル
- 生成 AI・LLM を活用したソリューション開発経験
- RAG・AI エージェント・プロンプトエンジニアリングの実装経験
- PoC 設計から本番環境へのデプロイ(実際に使える状態で公開すること)まで経験
ビジネス・コミュニケーションスキル
- 顧客の業務課題をヒアリングし、技術的な解決策として言語化できる
- 要件が固まっていない状態でも関係者と対話しながら実装まで進められる
- ビジネス側の課題と技術の橋渡し役になれる
面接で問われやすい観点
各社の公式求人の文言から、選考で重視されると考えられる観点を整理しました。
- 曖昧さへの耐性: 「要件が完全に固まっていない状態」で動けるか(JDSC)
- 一気通貫の経験: 課題発見から実装・定着まで自分で担った経験があるか(マネーフォワード)
- 0→1への意欲: 完成されたプロダクトの改善より、何もないところから作ることを楽しめるか(マネーフォワード)
- 顧客業務への関心: 技術だけでなく、その技術が解くべき業務課題に興味を持てるか(共通)
未経験から応募できる企業は?
本記事で紹介した企業の中では、JDSC が公式求人で「エンジニアとしての開発経験2年以上」を要件とし、FDE や AI プロジェクトの経験を必須としていないことを明記しています。
一方、その他の企業については、公式求人上で FDE 経験の要否が明確に記載されていませんでした。
そのため、FDE 未経験からの挑戦を検討している場合は、JDSC が比較的応募しやすい候補の一つと考えられます。ただし、実際に求められる経験やスキルは企業ごとに異なるため、カジュアル面談などで確認することをおすすめします。
よくある質問
FDEの年収はどのくらいですか?
本記事で紹介した5社のうち、公式求人に年収レンジを明記しているのはマネーフォワード(759万〜1,500万円・公式求人ページより)のみです。他社は非公開のため、カジュアル面談で直接確認してください。
FDE未経験でも応募できますか?
本記事で紹介した企業の中では、JDSC が公式求人で「エンジニアとしての開発経験2年以上・FDE や AI プロジェクトの経験は不問」と明記しています。その他の企業については、公式求人上で FDE 経験の要否が明確に記載されていないため、カジュアル面談で直接確認することをおすすめします。
FDEとAIエンジニアは何が違いますか?
最大の違いは「顧客との距離」と「実装範囲」です。AI エンジニアはモデル開発・技術研究が主な役割であるのに対し、FDE は顧客の業務課題を直接ヒアリングし、AI ソリューションを PoC から本番定着まで一貫して担います。技術力に加えてビジネス理解・顧客コミュニケーションが必須な点が大きな違いです。
2026年時点で日本でFDEを募集している企業はどこですか?
本記事執筆時点(2026年6月)では、SB OAI Japan・セールスフォース・ジャパン・マネーフォワード・JDSC・LayerX の5社が公式に FDE を募集していることを確認しています。ただし求人は随時変動するため、最新状況は各社の公式採用ページでご確認ください。
まとめ
FDE はまだ日本では新しい職種ですが、本記事で紹介したように大手・注目企業が募集を始めています。今回紹介した5社に共通しているのは、次の3点です。
- PoC で終わらない本番実装まで担う
- 顧客業務への深い理解が求められる
- 技術とビジネスを一気通貫でつなぐ役割
FDE 未経験から転職を考えるなら、開発経験2年以上・FDE 経験不問の JDSC が最も間口が広い選択肢です。各社の公式ページからカジュアル面談や応募を検討してみてください。
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。最新の募集状況は各社の公式採用ページでご確認ください。
出典一覧
- SB OAI Japan 公式採用ページ
- Salesforce 公式ブログ「5 Reasons Forward-Deployed Engineers Choose Salesforce」
- マネーフォワード 公式採用ページ
- JDSC 公式採用ページ
- LayerX 公式エンジニアブログ「FDE という職種について」